【SplendourXR】Vol.02OTHER

VRでのライブの課題とは?

Vol.01はイベント自体のレポートでしたが、Vol.02では実際にVRライブを体験し感じたことを書きたいと思います。
ここからは「体験したときに感じた課題」について触れているとご理解ください。開発するうえでは、通信や負荷など考える要素は多々ありますが、あくまでライブとしての雰囲気出しの部分にフォーカスしたものとして読んで頂ければ幸いです。

地蔵に見えてしまう

ライブにおける「地蔵」とは、ライブ中にまったく反応せずにいる姿から「地蔵」と呼ばれたりしているようです。
VRライブではシステム的に発生し得る問題で、PCで視聴している場合は、キーに割り当てられたダンスをその場の雰囲気で踊るなどしている方もいるように思いますが、VRで視聴している方のアバターは棒立ちになっているのではないかと思います。結果的に「地蔵に見える」ユーザーが多くなるのでライブの盛り上がり感を損ねるように感じました。

アーティストや曲固有のお作法

ライブ会場での一体感という意味では、アーティストや曲によるお決まりのお作法的なものがあります。この曲のこのときはこういったアクションをする的な…そういったものがないので、ライブ会場を巻き込んだ一体感的なものが生まれにくいのかもと感じます。システムなのかエモートなどの要素なのか何かしら一体感を演出することは必要に感じます。

アーティストと観客のコミュニケーション

アーティストによるMCやコールアンドレスポンスがないことから、どうしても「VR空間のなかで動画を視聴している感」が生まれてしまいます。アーティストと同じ空間、同じ時間を共有しているという意識はなかったように思います。スクリーンに録画と思われる動画が映し出されていると感じることで、感情的にはフラットな状態で視聴している…と、なりがちだった気がします。

密度感の出し方

フェスならではの「空間的な広さ=スケール感」と「観客同士が密集している密度感」の見せ方も課題として大きい問題な気がします。今回はユーザーが入れるエリアの外周に賑やかし用の書割が配置されていましたが、スクリーンと自分の間の賑やかし方法を考えるほうが効果的な気もします。とはいえ、描画負荷的なこともあるので多数のモデルを置けるのかという問題もあります。書割を効果的に使う方法については一考の価値があるように思います。

会場の空気感

ライブ会場でのエフェクトやライティングなども非常に重要に感じました。何となく再生されているではなく、曲に合わせた演出という意味での効果をどう出すのか?を考える必要があると思います。
あとは、環境音として観客が出す歓声や雑音も大事に感じます。ガヤガヤしている感がないと臨場感を得られにくいのかもしれません。環境SEとして演出するのか、何かしら考えてみても良いのかもと思います。

コストと収益のバランス

課題に対してこうしたら良いのではないか…的なイメージはあるものの、実際に開発費に落とし込むとそれなりに掛かる要素だなと思います。生み出したい体験価値を分解し、どの部分に注力するサービスにするのか?収益としてバランスする観客母数をどのあたりにするのか?VR空間ならではの魅せ方をどう演出するのか?は重要に思います。
今回のイベントの参加人数の総ユニーク数は不明ですが、ワールドに参加している人数は気にして見るようにしていたので、何となくは把握できたように思います。

とはいえ…

「SplendourXR」に参加して、コロナ禍のなかでこれだけ規模の大きなイベントを準備し、2日間トラブルもなく完遂させたスタッフの方たちの苦労は大変だっただろうなと思います。2日目の半分くらいのスケジュールでこの物量…本当におつかれさまでした!素敵なイベントをありがとうございました!
リアルタイム、XR、エンターテイメントのコンテンツは挑戦していきたい分野なので、機会があれば全力でトライしてみたいと思います!